以前、弓の紋章 と題して色々な家紋を紹介してみたけれど、ある日、図書館で調べものをしていたら、「日本家紋総覧（千鹿野茂／角川書店）」という、広辞苑ほどもある家紋の本を見つけた。興味にかられて開いてみれば、鷹の羽 281、鷹 6、鷲 7、弓 25、矢 232、矢筈 29、矢尻 12、的 11、弦巻（蛇の目）77、弓文字 5 もの家紋があり、見たことのないもの、デザインとして優れたもの、ユーモラスなものと、ありとあらゆるデザインの可能性を追求したような家紋の数々に、もう一度、家紋を紹介してみたくなった。
　そういうことで、ここでは私が気に入った、特に面白いと思う家紋をコメントつきで紹介してみます（ふりがなはおそらくこう読むだろうとふったものです）。

	中陰鷹の羽桐 （ちゅういんたかのはきり） 遊びのあるこんな紋は本当に面白い。よくも鷹の羽で桐を表現したものだ。		変わり矢筈 （かわりやはず） 矢筈の一部を大胆に切り取っている。今で言うところのトリミング？
	丸に違い矢と瓢 （まるにちがいやとひさご） 違い矢に見せかけて、実はひょうたん。何だかユーモラス。		丸に三枚笹二つ矢と七宝 （まるにさんまいささふたつやとしっぽう） 何でこんなに詰め込んだんだろう？　随分と欲張ったものだ。
	丸に三本束ね矢 （まるにさんぼんたばねや） 前回の三本束ね矢と違って、どことなくかわいらしい。		丸に尻合わせ三つ矢 （まるにしりあわせみつや） 三つ矢の上下を逆にしただけなのに、見たことのない新鮮なものになる。
	四つ割り矢 （よつわりや） ただ並べるのではなくて、中の二本を違いにしたところが面白い。		五本矢尻付き並び矢 （ごほんやじりつきならびや） ここまで並ぶと圧巻。
	蛇の目梅鉢 （じゃのめうめばち） 蛇の目（弦巻）で梅を表現。単純だけれど面白い。		六つ矢尻 （むつやじり） そのままどこかのマークになっていそうなデザイン。
	二つ弓に矢 （ふたつゆみにや） どことなく「弼」の字を連想した。		弓に並び矢 （ゆみにならびや） 人が弓に矢を二本執って「佛（仏）」。なんて話を思い出した。矢尻の形が違うのも面白い。
	三つ組み合い弓 （みつくみあいゆみ） 弓もこんな風に合わせると、まるで別物のように見える。		五つ鷹の羽 （いつつたかのは） 五本鷹の羽と違って、扇形に並べたところがいい。
	割鷹の羽桔梗 （わりたかのはききょう） 割鷹の羽で桔梗を表現。かなり細かい。ので、クリックすると拡大版が開きます。		的抜き （まとぬき） ここまで単純化してしまっても、的と当たり矢に見える。
	十字違い鷹の羽 （じゅうじちがいたかのは） 違い ＝ × という固定観念がくつがえされてしまった。		丸に覗き違い鷹の羽 （まるにのぞきちがいたかのは） 小さい子が背伸びして窓から覗いているような、かわいらしい印象の紋。
	丸に出違い鷹の羽 （まるにでちがいたかのは） 枠の丸からはみ出すほどの鷹の羽。何やら威勢が良い。		入れ違い鷹の羽 （いれちがいたかのは） だまし絵のようで、じっと見ていると頭が混乱してくる。
	丸に並び鷹の羽と扇 （まるにならびたかのはとおうぎ） 「三本鷹の羽」に見せかけて、真ん中は実は扇だったりする。		富士山に並び鷹の羽 （ふじさんにならびたかのは） 何だか「一富士二鷹三茄子」を狙ってるような……茄子がないけど。
	丸に矢尻の丸 （まるにやじりのまる） 「鶴の丸」とか「鷹の丸」は有名だけど、それを矢尻で作ってしまった。		番外編：太極図 （たいきょくず） 弓とは直接関係ありません。けれど、何となく的に見えてくるので……。